老化の原因

老化の概要

1. 活性酸素による酸化ストレス

生物は呼吸によって取り入れた酸素を使ってエネルギーを生み出しますが、その過程で細胞小器官のミトコンドリアで「活性酸素」が中間産物として生まれ、それが過剰にできると鉄が酸化して錆びるように、細胞、ひいては体にダメージをもたらします。これを酸化ストレスと呼びます。

 
1956年に、酸化ストレスによる細胞傷害が老化の原因であるというフリーラジカル仮説をデナムハーマン博士が提唱しましたが、フリーラジカルとは不対電子を持つ原子あるいは分子のことで、その不安定性によりDNAやタンパク質、脂質と反応しやすいために、それらを傷害すると考えられています。後に、様々な生体内反応により、細胞内でミトコンドリアから活性酸素と呼ばれるフリーラジカルが形成されることが判明し、有力な老化仮説の一つになっているのです。

 
また、皮膚や筋肉中に存在するミトコンドリアの内膜に局在して、酸素をもとにエネルギーを生み出す経路の一部に必要なタンパク質である「コエンザイムQ10」は、心臓の筋肉疲労とも言える心不全に有効な薬として医療現場で使われていますが、ことコエンザイムQ10を過剰に摂取することでも酸化ストレスが増加し、寿命が縮まる可能性があることが知られています。

2. 動脈硬化

近代内科医の祖と言われるウィリアムオスラーは、「ヒトは血管とともに老いる(A man is as old as his arteries.)」という言葉を残しましたが、これは動脈硬化が人間の老化と強く関連していることを示唆しており、現在では糖尿病、高血圧、高脂血症などいくつかの生活習慣病が動脈硬化を引き起こすことが知られています。

 

(参考文献: 老化はなぜ進むのか BLUE BACKS / 近藤 祥司, 2009)
 

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